行政書士「対役所」との関係を前提とした資格でした。しかし、近年は、周辺業務へ拡大し続けています。
最初に、展開したのは入管業務から派生した分野の業務です。
入管そのものは行政機関なのでもともと我々の業務分野でした。そこで、入国の際の手続きだけではなく、「国際関係業務」に拡がるという転換がありました。
そこから、国際結婚といった国際身分関係に関することや、外国の会社が日本に進出する際のお手伝いをする国際経営関係といったところに移りました。
さらに、司法過疎の地域で行政書士が窓口となって様々な相談に応じてきました。行政書士会が掲げる『身近な街の法律家』というキャッチフレーズの始まりです。身分関係の親族・相続の分野に加え、市民法務的な業務を取り扱うようになりました。今日では、各種の契約書類の作成や告発状の作成などさまざまな書類の作成に携わっています。非常に注目されている分野です。
さらに、ADR(裁判外紛争処理手続)制度にも展開し、国民の方に身近な紛争の解決を手助けできるような活動を行っています。
社会貢献も積極的に行うため、成年後見制度の分野のお手伝いもさせていただいています。
2010年8月に全国組織である「一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター」が発足し、一層力を入れていく次第です。
今後も行政書士の活躍するフィールドが拡大することは間違いないと思われます。
行政書士試験は他の資格試験と比べると試験と実務が離れているという話をよく耳にします。そんなことはありません。試験で勉強した知識は必ずどこかでリンクします。
たとえば実務と関係ないと言われる行政法ですが、行政機関に書類提出のときのやり取りを行う際に、総論を知っておくことで役立つことが多々あります。一般知識も今後の行政書士業務が眠っている可能性がある分野から出題されています。
もちろん開業後に仕事をする際に必要なことを深く勉強することも大切です。
書類作成をする際には、法律の規則や細則まで深く入り込む必要がありますからね。
行政書士は非常に幅広い業務範囲を持っています。許認可業務では風俗営業、建設業など、市民法務部門では相続関係、内容証明作成など業務の種類は数千にも及ぶとされています。
その中から自分で業務分野を選ぶことができるというのが最大の魅力です。入管に興味があれば入管に携われば良いですし、厚生労働省に興味があればそういった業務に関わっていけば良いと思いますし、新たな業務を発掘するのも良いかと思います。人がやっていないような仕事をできたときの喜びは格別です。
実務で何を取り扱っているのかを知りたいという方は、LECさんの講演会などで先輩行政書士の先生のお話を聞くことをぜひお勧めします。
行政書士といったいわゆる「士業」と呼ばれる仕事は一匹狼のイメージが強いと思います。しかし、実際はほとんどの先生が仲間の輪を作っています。個人事業主だからこそ情報交換や、いざというときのための横の繋がりが大事になってきます。ですので、研修会や他士業との交流会にはぜひ参加していただきたいです。知識だけではなく、人脈という財産を得ることができます。
たとえば、建設業の仕事を税理士の先生からいただくことがありますし、自分の専門外の案件は行政書士の仲間にお願いしたり、他の士業の先生にお願いしたりすることもあります。
分からないことがあった場合に、相談ができる方がいるのも心強いですからね。